||| 関東カタクチイワシ餌対策 |||

 2004年11月。 関東エリアの一部を除き例年通り「ヒラメ釣り」が解禁しました。 このエリアで行なうヒラメ釣りに使用する殆どの活き餌が「マイワシ」です。 ところが水産庁が2004年9月に発表した、資源量が激減しているマイワシについて、対馬暖流域(日本海側)を「禁漁」とする方針(2005年の年間許容漁獲量を「ゼロ」とする方針)という報道からもわかりますように、近年マイワシの漁獲高が著しく減少しています。(但しこの禁漁案は、漁業関係者らの反発を受け、後に事実上方針を撤回されています。) その減少傾向を辿る漁獲高の影響かどうかわかりませんが、太平洋側におきましても11月下旬頃まであったマイワシが、2004年12月に入りますと、関東エリアのどこの港においてもマイワシが入荷しなくなりました。 それに代わって出回っている活き餌が「カタクチイワシ」です。 関東エリアのヒラメ釣りにおいて当然の如く必至とされていたマイワシが手に入らなくなって、釣り人たちはカタクチイワシを相手にかなり困窮しているようです。 ここでは、そんなカタクチイワシに慣れない関東エリアのヒラメ釣り師たちのみなさんに少しでもお役に立てましたらと思い、この「関東カタクチイワシ餌対策」のページを作成してみました。
 2004年〜2005年の「寒ビラメ」シーズンに入って、関東エリアの殆どのヒラメ釣りが「マイワシ」から「カタクチイワシ」の活きエサになりました。 2004年11月下旬までは、まだマイワシが入荷してましたが、現在(2005年1月中旬)は、皆無です。 しかも「活カタクチイワシ」一尾あたりの単価が70〜90円と激高です!( ̄△ ̄|||) もし、偶然あったとしても「マイワシ」の方も一尾180円前後とこちらも高騰中とのことですので驚愕の事実です。 いよいよイワシを高級魚として再認識しなければならなくなりましたね。
 船宿によっては、船長が自ら事前にマイワシや小アジを釣って用意してくれたり、出船前半に釣り人みんなでサビキで活き餌釣りをしてからヒラメのポイントへ...なんてやってるところも多いようです。(昔は、こんなの常識で、釣り客はまず活き餌釣りをするのが常でした。) いずれにしても活き餌を確保するというのは、大変な努力が必要です。
この「カタクチイワシ」。 東北など地方エリアでは、極自然にこれをヒラメ釣りの活き餌として使用しています。 関東の南房エリア(千葉県)などでも昔から至極フツーな活き餌です。 ご当地では、「ヘシコ」とか「シコイワシ」などといって、ヒラメ釣りをはじめメバル、カサゴ、コチ、スズキ、タチウオなどいろいろな釣りに用いられています。
カタクチイワシを活き餌とすることに慣れてない関東エリアのヒラメ釣り師のみなさんへ。 まず、できましたらヒラメの仕掛けを「タンデム」から『シングル』にしてください。 そして、鈎のサイズもなるべく小さめにして、ハリスも下げて、長さもちょっと短めにしてみてください。

たったこれだけでカタクチイワシ対策になります。 尚、このタンデムとは、「親孫二本鈎仕様」のことでシングルとは、「親一本鈎仕様」のことを示します。
 カタクチイワシは、身体も小さくとても弱くデリケートな小魚ですので大きな鈎や太いハリスによる抵抗は、かなりの負担です。 あの小さい身体に「孫鈎」を打つなんてことは決してしないでください。 所詮「孫鈎」は保険みたいなものなので、あってもなくても釣果にさほど関係ありませんよ。(笑) 事実、マイワシ餌の時も「親一本鈎仕様」の方がマイワシがいつまでも元気ですから、その方がヒラメへの誘いも当然高くなります。 またマイワシに比べてカタクチイワシは、上へ上へと泳ぎますので長いハリスは、手前マツリの原因にもなりやすいようです。 ハリスの長さも適度に調整してみてください。
【参考資料】
カタクチイワシでのヒラメ仕掛けです。 基本は、「一本鈎仕様」となります。 とうぜん「孫鈎」はいりません。 この仕様でも5キロ位までなら無理なく平気で釣り上げられますのでご安心ください。
チヌ鈎(白)/5〜6号、丸せいご/14〜15号など
ハリス フロロ系4〜5号/せいぜい60センチ程度とやや短め
ステイト これまでと変わりません。
カタクチイワシに余計な負担を掛けずに、できる限り自由に海底で泳がすことを考えてみましょう。
「カタクチイワシ」は、マイワシと比べて弱いので、取り扱いも慎重に。 きちんと“掬い網”などを用い、できる限り素早く「鈎」に刺して投入するようにします。
カタクチイワシの持ち方です。 マイワシと違って、比較的暴れないので、掴み方(持ち方)は、結構簡単です。 身体を掴まずに親指と人差し指でもって優しく「エラの部分」を掴めばOKです。 エラブタ部分を押さえるとカタクチイワシは、とたんに大人しくなります。 ここを持つことにより、カタクチイワシの火傷も軽減され、とれやすいウロコも手で握って損なうことはありません。
重要なカタクチイワシへの鈎刺しは、下顎から上顎への「通し掛け」でOKです。 鼻掛け(横掛け)や上顎掛けは、カタクチイワシの場合、鈎が外れて「脱走」しやすいのと、海底へ沈降する際に口が開いて「窒息死」する場合が多いので避けましょう。
特にカタクチイワシの鼻は、ゼラチン状の柔らかい物質ですので、鈎が不安定になりやすく、「鼻掛け(横掛け)」はやめた方が無難です。

←カタクチイワシの口の中ですが、ご承知の通り、上顎と鼻の部分は意外にも柔いです。 しっかり下顎から鈎を刺して、上顎まで鈎のカエシが抜けるよう刺しましょう。 まずは、脱走防止のために鈎の安定が第一なんです。 その際、「ストッパー」もお役立ちアイテムのひとつです。
 投入時の注意点ですが、リールをサミングしながら、できる限りゆっくりと優しく落とし込んであげてください。 こうすることで、カタクチイワシへの負担も軽減されますし、「持ち」も違ってきます。 そして、この「ゆっくり落とし込む」動作により、ヒラメへの「誘い効果」に繋がります。
カタクチイワシは、マイワシと違って、定期的なメンテナンスが重要です。 マイワシは、弱っててもヒラメが食いますが、カタクチイワシの場合は、元気な方がヒラメが食います。 カタクチイワシに対して、鈎を「通し掛け」していることから、口が開くスペースが少ないために弱るということも否定できませんが、基本的に鈎掛けされた状態では、海底であまり持ちません。 つまり、すぐに死んでしまうケースが多いのでヒラメにアピールできません。 ですから上手なヒラメ釣り師になるほど、エサのチェックなどのメンテナンスがマメになります。
 巻き上げた時にカタクチイワシが死んでいたら、次の投入では元気な餌に交換しましょう。 それと、鈎刺しの作業も少しでも餌が海底で元気に泳ぐように船長の「投入OK」の合図が出てからにしましょう。 生簀(バケツ)で鈎を刺したまま泳がせて、投入待機してるとカタクチイワシがすぐ弱ってしまいます。 高価で大事な活き餌です。 無駄遣いだけはやめましょうね。(苦笑)
 ちなみに弱ったり、死んだカタクチイワシでも誘えば、ヒラメが食うこともあります。 「死に餌」も捨てずに「活き餌」がなくなったりした時のためにキープしておくことも得策だと思います。 この際の「誘い」は、カタクチイワシを引っ張るように竿の弾力で“シェイク”するパターンが一般的ですが、これを活きているカタクチイワシでやりますと、速攻で死んでしまいますので厳禁です!
 カタクチイワシも慣れれば、とても簡単で楽しいです。 マイワシに比べて、カタクチイワシはメンテナンスが面倒ですが、何よりカタクチイワシ餌は、ヒラメが食い込むまでの時間が短くて「勝負が早い」ことが何より嬉しいことです。 また、マイワシの活き餌と違った道具仕立てや仕掛け作り、ヒラメを掛けた時のスリリングなかけ引きもありますから、ぜひみなさんも今のヒラメ釣りを楽しんでください。 マイワシに拘らなくてもヒラメは、問題なく釣れますよ♪(^▽^@)
カタクチイワシを使ったヒラメ釣りで、「東北2段仕掛け」という有名なヒラメ仕掛けもあります。 こちらは、三陸エリア以北で多く多用化されていますが、この東北仕様の「2段仕掛け」は、関東エリアの船長たちが見なれてないと思いますので使う場合は、くれぐれも船長の許可が必要でしょう。 また関東エリアでは、水深も深くエサの消耗も激しくなりますので、できる限り「乗合船」ではご配慮とご注意を。

←「2段仕掛け」でのヒラメ釣り。 上鈎と下鈎にそれぞれヒラメが釣れる「一荷」となることも。(嬉♪)
おまけキーワード 『親鈎一本で勝負』
『鈎もハリスもサイズダウン』
『カタクチイワシの鈎刺しは、通し掛け』
『マイワシは、元気でも弱っててもヒラメが食う』
『カタクチイワシは、元気なほどヒラメが食う』
『死に餌でも誘えばヒラメは食う』

『死に餌で誘う前に食わせる活性かな』」(←字余り)
【ご注意とお断り】
 このページは、2005年1月2日〜8日まで「鮃屋@投稿写真館」の掲示板で掲載されたものを再構成したものです。 現在(2005年1月下旬)は、太平洋側の一部のエリアでも「マイワシ」の回遊がはじまっており、各船宿に供給が再開されているところもあるようです。 ※内容並びに写真の無断転載を禁じます。