||| ヒラメの卵と産卵期 ||| ◇ヒラメの産卵期は南では早く北に行くほど遅くなる◇ □卵径 ０．９０〜１．０５mm □抱卵数 １４〜４０万粒 □雌の大きさ ４５〜６０cm □卵の特徴 分離系性卵 □産卵期 ２〜７月（全国） 卵径0.90〜1.05mm 　日本列島沿岸におけるヒラメの産卵期には、地理的な顕著な変異がみられる。日本海に面した北海道の石狩湾では6月下旬から8月上旬にかけて、津軽半島沿岸では5月から7月、秋田から新潟にかけての沿岸では5月から6月、富山湾では4月から5月、若狭湾や鳥取沿岸では3月から4月、北九州では2月から4月、長�ｱから熊本沿岸では2月から3月、鹿児島沿岸では1月から3月に産卵する。太平洋に面した下北半島周辺や岩手沿岸では6月から7月、仙台湾では5月から6月、房総半島沿岸では4月から6月、伊豆半島から紀伊半島にかけては3月から4月、四国沿岸では3月、宮崎沿岸では2月、鹿児島沿岸では1月から3月に産卵が行われる。このように南で早く、北では遅い傾向がある。また、同緯度でも日本海沿岸では太平洋沿岸よりも産卵期は早い傾向があり、これらの違いは各海域の産卵場における水温の季節的変化ら影響された結果であると判断される。 　ヒラメの産卵期における分布域の水温は各海域で差がみられるが、千葉県沿岸ではおよそ14〜17℃であると報告されている。各海域の水温が15℃に達する時期は、南の鹿児島沿岸では1月、北方の産卵場である北海道の石狩湾では6月から7月で、およそ半年の差がある。このような産卵期の地理的な差は、生活史における季節的スケジュールの地理的変異を生じさせる基となっている。産卵場の水温についての詳細な結果みつけることができないが、産卵場における表面水温は、日本海西部(島根から京都)で12℃〜15℃、日本海北部(富山から北海道)では15℃〜17℃で、西部より北部における産卵場の水温がやや高いと報告がある。また、仙台湾でも17℃でやや高い。これらの結果をみると、本種の産卵期における産卵場近傍の水温は北方の海域の方がむしろやや高い傾向が認められる。 ●更新日：2004/02/09,2007/10/08 ■参考文献： 落合　明・田中　克「魚類学（下）」,ひらめ,pp.1075-1080(1986) 南　卓志「ヒラメの生物学と資源培養」,�T.資源生態,1.生活史特性,pp.9-24(1997)