||| 養殖放流ヒラメの天敵 |||

●ヒラメの天敵はイシガニ 幼魚激減の謎、水産総研が解明
 放流されたヒラメの子供の多くはイシガニに食べられてしまっていることが、独立行政法人水産総合研究センターの調査で明らかになった。同センターによると、放流ヒラメの数が減る原因が解明されたのは初めて。成長してからの漁獲を目的として放流する幼魚の数は、マダイを抜いてヒラメがトップ。毎年2000万匹以上の幼魚が放流される。
 ところが、放流した直後に数が急減する問題があった。原因を解明するため、水産総合研究センターは01年と02年に新潟県の佐渡島で、全長6センチ前後のヒラメを約5万匹放流。追跡調査した。放流後1週間で7割以上が姿を消したため、周辺の海域にすむ肉食動物の胃を調べたところ、減ったヒラメの半数以上はイシガニに食べられていたことが明らかになったという。イシガニは浅い海底の砂泥などにすみ、甲羅の幅が10センチに達する。日本の周辺の海域に広く生息し、食用にもなる。同センターはヒラメの放流効果を高めるためには、イシガニの生態に注意する必要があると指摘している。 (2004/11/13 06:14)
ヒラメを捕まえて食べるイシガニ=水産総合研究センター提供
ヒラメを捕まえて食べるイシガニ 〔水産総合研究センター提供〕
⇒ 2004年11月13日(土) 「朝日新聞社」asahi.com から引用
 あ〜あ!これは大変な悲劇ですね!(涙)・・せっかく大切に育てた養殖ヒラメを海に放したとたんイシガニに食べられてしまってるなんて・・可哀想なことです。食に対して異常な貪欲さを示す海底の肉食モンスターであるヒラメも赤ちゃんの時は、ただの小魚に過ぎないんですね。これが正に厳しい自然界の食物連鎖なのでしょうが、実際には人間が育てて放流したヒラメの赤ちゃんを大きくなる前にイシガニが「横取り」して食べちゃってるんですからズルイっていうか困ったものです。(苦笑)
 養殖ヒラメを海へ放流する方法や場所の選定条件には、いろいろあるようですが、一般的には漁船などで近場の沖に出て「海上放流」か「潜水放流」のようです。その場所も殆どが赤ちゃんヒラメが定着しやすい潮の流れが緩い「砂地」ですので、天敵であるイシガニの生息域にもピッタリということになります。恐らく、このイシガニ以外にも一緒になって、赤ちゃんヒラメをバクバク食っている悪い奴ら(大きな魚など)もいるんでしょうが、とりあえずの「対策」としては、このイシガニが生息しにくい場所や少ない所で放流するとか、天敵たちに対抗できる位までもう少し大きく育ててから放流するとかの工夫が必要でしょうね。(←但し、事業経費は間違いなく増大します。)
 それから、ヒラメとイシガニの関係は微妙で、赤ちゃんヒラメは「イシガニに食べられてしまうことが多い」のでしょうが、その逆にある程度大きく育ったヒラメは「イワシなどの小魚以外にもエビやカニなどの甲殻類も好んで食します」ので・・もし人間がヒラメを守るために「イシガニ捕獲大作戦」とかをしますと、ヒラメのエサが少なくなり、その食物連鎖のバランスが崩れてしまうという誤算にもなり兼ねません。
 いずれにしましても、我々釣り人は、こういった放流事業の恩恵に肖って、ヒラメを釣らせて頂いているのも事実ですので「貴重な資源をいつまでも大切に」・・という感謝の気持ちと積極的な行動(リリースや放流基金への参加)も心掛けるようにしましょう!