||| ヒラメを優しくつかむ? |||

◇魚を最も優しく安全にランディングするらしいけど・・?◇
 「小ソゲや産卵前の桜ヒラメは、キャッチしたら優しくリリースしましょう!」・・というのが、イマドキのヒラメ釣り師のマナーです。ところで、みなさんは普段そのヒラメをどうやって持ってますか?きっと殆どのお方が「素手」でヒラメをギュッと掴んだり触ったりしているかと思います。ご承知の通り、魚とヒトの体温差はかなり大きいため、ヒラメが火傷して、弱らないようになるべくならグローブなどして触りたいものです。(もちろん掴んだ手をヒラメの鋭い歯から保護する役目もあります。)特にリリースを目的とした場合には、細心の注意を配りたいものです。ただでさえ、鈎を飲んで、無理矢理海面まで揚げられたヒラメは、体力もかなり消耗していて弱っているハズです。そんなヒラメをヒトが高い体温の素手で弄繰り回したら、更に弱ってしまいます。
 そこで何か良い手だて(手段)がないものか検証してみました。釣り具屋に行けばそれらしいヒントもあるだろうと思いお邪魔しましたら、「魚をつかむ道具」がいろいろありました。店員に伺いましたところ、一番の売れ筋は、昔からある「メゴチバサミ」だそうで、あのトンク状のものです。しかし、アレは、形状的にもヒラメなど大型の魚には使えませんので、他の商品を伺いましたら、↑の「ラパラ/フィッシュ・ホルダー」(定価1,100円/実勢価格990円位)を勧めて来ました。この「ラパラ/フィッシュ・ホルダー」は、“魚に直接触れずに弾力性のある樹脂で口だけを優しく掴むため、魚体へのダメージを最小限にしたリリースが可能。鋭い歯をもつヒラメも確実にホールドし、安全かつ迅速に処理が行なえます。(10キロまで対応)”と説明書にも記載がありました。では、早速試してみましょう!・・と、購入していざ実践。結果・・見事に惨敗でした。(涙)ヒラメの口に突っ込んで持ち上げるものの、釣れたてのヒラメは、元気よくかなりの勢いで大暴れします。折角掴んでもズボっ・・って感じで抜けてしまいました。では、尻尾ならいいかと掴んでみましたが、こちも体液ヌルヌル状態なので、滑って全く掴めません。唯一、これで掴めた部位は、エラに突っ込む方法でしたが、当然ながらエラが切れて大出血で即死。優しくリリースどころではなくなってしまいました。この「ラパラ/フィッシュ・ホルダー」は、魚を優しく掴むことを第一の目的として設計されており、掴むギサギサの部分も優しいキャラメルパターンなので、元気よく大暴れする魚には向かないようです。(苦笑)どちらかいいますとトラウトやバスなんかの淡水魚向きなのかもしれません。残念ながらヒラメを暴れないようにそっと掴むことは、とてもできませんでした。
 もうひとつ店員に勧められたのが、↑の「ダイワ/フィシュ・ホルダー」(別名「バリばさみ」)です。コレは、大暴れするヒラメに食い込んで間違いなくガッチリと掴むことができますが、当然ながらアッサリとヒラメが死んでしまいます。しかも、掴んだところの皮や肉がズタズタのボロボロになりますので見た目にも非常に可哀想です。リリース対象のみならず、持ち帰る場合でも、あまり使って欲しくない釣り道具のひとつです。
 結論です。今のところ「優しくヒラメをつかむ道具はない。」・・というのが見解です。ヒラメを一番優しく持てるのは、やはり「グローブをしたヒトの手」です。ヒラメを持つ時も勢い良く持つのではなく、赤ちゃんや花束を抱くように優しくそっと支えてあげるくらいの感覚で抱き上げることで、ヒラメもそんなに暴れませんし、掴む部位も尻尾とエラなどと安定するところを選べば問題も軽減できます。特にリリースする場合は、なるべく魚体に触れず、ハリスごと切って海に返すとかの配慮も必要です。唇などは、鈎をプライヤーで抜いても大丈夫ですが、喉やエラに刺さった鈎は、無理に引き抜くと出血が止まらず死んでしまいますのでそのまま刺さった状態でいいと思います。刺さった鈎は、自然にとれて吐き出すか、そのままでも生きていけるそうですのでご安心下さい。
 正直なお話ですが、リリースしたヒラメの約半分は、数時間から数日後にはリリースの甲斐もなく、死んでしまうという統計結果もありまして、やや困惑してしまいますが、リリースしたヒラメがそのまま大きく成長する固体もいることも事実です。いずれにしてもなるべく素早く優しく丁寧にリリースしてあげたいものですね。
●更新日:2010/01/10、2004/12/19
ラパラ・ジャパン/「RaPaLa」Professional Fish-Holder
ダイワ精工/フィッシュホルダー220