||| ヒラメの獲り込み |||
 ヒラメ釣りもいよいよクライマックスです。 ヒラメがかかると、その竿の曲がり具合とアクションの様子で、誰の目から見ても「あっ!かかった!」...と、わかります。 船長は、操舵席から大ダモを持ってすっ飛んできます。 勿論、船長以外に「仲乗り」がいればその人がすっ飛んできます。(笑) ヒラメをかけた釣り人は、船内全員の憧れと熱い視線を全身に浴びながら、誇らしげに、且つ「頼むぞ〜!バレるなよ〜!」という祈願を込めて、ロッドワークで「突っ込み」を凌ぎながらリールを一定の速度でゆっくりと巻き上げます。 ここで「ズボ!」っとバレると、めちゃくちゃ恥ずかしい。 と、いうより悔しさ100倍!!でしょうか。( ̄∇ ̄; ガーン!
 ...そしていよいよ紺碧の海の底から、じわーっと白い物体が浮遊してきます。 それは、上にくるのと同時に色好いを増し、段々と肌色から茶色、そしてこげ茶色へと変貌していきます。 ついに、周囲の歓声とともにヒラメが、海面に浮上です。 ...と、同時にすかさず船長が、ヒラメを頭から大ダモでもってキャッチ。 すべての人々の緊張が解れる瞬間です。 「やったね!」とか「おめでとう!」という船長や皆の言葉が何よりも嬉しいことでしょう。
 「タモ入れ作業」は、必至です。 あまり自分でやることは少ないと思いますが、ヒラメが、海面に出たらどんなに小型でも必ず「タモ」で掬(すく)いましょう。
 ヒラメの掬い方は、重大責任が伴うため、船長任せが多いと思われますが、「寒ビラメ」シーズンなどで船がやたら混んでいる時などでは、隣同士で助け合わなければなりません。 タモは、ヒラメが海面に完璧に浮くまで海に入れてはいけません。 釣っている人は、ヒラメが海面を「スー」っと滑るようにタモに向かって、引き寄せます。 そして、タモを持った人は、必ずヒラメの頭から掬います。 ヒラメの尻尾や横から追い掛け回すようなやり方だけは、避けてください。 赤の他人の釣ったヒラメでも「ちぇっ!こんちくしょう!」と思わないで、優しく丁寧にそして素早く確実にキャッチしてあげましょう。 次に自分が掬ってもらう番が来た時に困るでしょう?(苦笑)
 その際、釣り人は、タモに収まるまで、ミチイトは「ピン!」と張っていましょう。 よく、船長のタモ入れが始まると安心してイトを緩めてしまう釣り師がいます。 大抵は、その時にフッキングが甘くなり、ヒラメが、海面を反転し、そして「ひとのし」。 あっけない幕切れとなることでしょう。
 また、「タモ入れ」が頭から「すっと」入ったら、すかさず今度は、リールのクラッチを切り、ミチイトを緩めて、ヒラメをタモの底側に誘導します。 ヒラメは、イワシを飲み込んで親針が喉辺りまたはエラまで到達して針掛りするか、唇辺りに刺さっているパターンのいずれかが殆どです。 いずれの掛かりでも、浮力による水中と大気中の体重差は歴然! タモに入ったと同時に、見事に身体を翻して全体重をかけ、あっさり仕掛けをハリスごと切って、海底に舞い戻る動作を行います。 ヒラメは、鼻と目が良く利き、特に身体(皮膚)を何かに触れられるのを何よりも嫌います。 大型になればなるほど海面で大暴れします。 鼻は空気を。目と皮膚は大ダモに機敏に反応するものと思ってください。 ですから、ミチイトを張る、緩めるのタイミングは、完璧にやることが重要です! この最後の動作を決して慌てず、スマートにやれる釣り客は、そこの船長も認める、まず間違いなくベテランやプロ級の「ヒラメ釣り師」です。
 ヒラメを船内に獲り込んだら、まだ幾つか留意点が残っています。 まず、ヒラメを1匹でも釣った「仕掛け」(ハリスと針)は、絶対に「再利用」しないこと。 理由としては、仕掛けが、飲まれていることが多く回収も大変ですし、ハリスが歯でボロボロになっているのでまず使えません。 さっさと、ハリスをハサミで切ってしまいましょう。
 それから、もう充分にわかってると思いますが、うかつにヒラメの「口」に指を入れて持たないこと。 たまにいるんです。 血だらけになった手にタオルをグルグルと巻いて釣ってる人。(悲) ヒラメは、獰猛なフィッシュイーターです。 ノコギリのような鋭い歯(犬歯状歯)があって大怪我をします。 持ち上げたり、移動する際は、必ずエラから手を突っ込んで、更にもう片方の手で尻尾をつかめばまず暴れません。 「ギャフ」や「ナイロン・タイ」を使うと安全ですね。
 そして、釣り上げたら記念写真でも撮って、適当に余韻を満喫したら、さっさと自分のヒラメである証拠の印(しるし)を付けて「生簀」に入れるか「活き絞め」にしましょう。 旨いヒラメのお刺身やエンガワが食べたかったら、早めにちゃんと船の上で「活き絞め」する事です。 それから「30センチ未満」や「キロ未満」の『ソゲ』は、ぜひともリリースしてあげてください。 どうぞ宜しくお願いしますね。