||| ヒラメの食性 |||

 後期仔魚は浮遊性の等脚類や端脚類、裂脚類などを食べるが、稚魚はアミ類を主食として、ケンミジンコや他の稚魚を捕食する。成長するにつれて魚類が主要な餌生物に変化する。全長数cm前後ではカタクチイワシやハゼ類のなどの幼魚を混食しだし、10cmごろから魚食性が高まり、11〜14cmで食性が転換して15cmごろには90%近くが魚類で占められる(石田ほか、1977)。また、ヒラメが分布する海域の餌生物分布の条件によりかなり速い時期での魚食性に転換する達成がその後の成長を速める可能性を示唆している。
 若魚や成魚は魚類・イカ類・甲殻類を多食し、多毛類や棘皮類などは殆ど食べない。生息場で量的に最も多いのはカタクチイワシとイカナゴであり、その他にマアジ、マサバなどの幼魚やヒイラギ・キス・カサゴ類・カジカ類・カレイ類などの底魚を食べる。イカ類は春から秋に、甲殻類は周年にわたって摂取され、時には量的に多いこともある。また、ヒラメ同士の共食いも多く、小型の個体も餌生物になっている。
 摂取量は10〜25℃の範囲では水温が高いほど多いが、26℃前後で急に食べなくなり、27℃以上では殆ど絶食状態になる。尚、産卵期の雌親魚の空胃率は高いことから、産卵期には雌親魚の摂取量は低下するものと思われる。
●更新日:2004/02/09,2007/10/08
■参考文献:
落合 明・田中 克「魚類学(下)」,ひらめ,pp.1075-1080(1986)
南 卓志「ヒラメの生物学と資源培養」,T.資源生態,1.生活史特性,pp.9-24(1997)