||| ヒラメの視覚 |||

◇ヒラメの眼はほぼ正視◇
 カナダのSivakはカレイ類(Pseudopleuronectes)の眼の屈折状態をPretinoscopeで測定し、それらの眼が屈折光学的には“軽い遠視”である事を報告した。 しかし、Sivakはそれらカレイ類の生息環境に青系(短波長)の光が優勢であることに注目し、水晶体の色収差(青と赤の光ではその焦点を結ぶ距離が異なるために生ずる像のズレ)を考慮すればそれらの眼は“ほぼ正視”になると結論した。 理論的に考えると遠視では遠くのものも近くのものもその像はボケてしまう。 近視の場合は近くのものだけシャープな像ができるが、少し離れたものはボケてしまう。 すなわち魚類の眼が遠視であることは魚類が生きてゆく上で有利なこととは思えない。
 以上のことから現在のところヒラメを含む硬骨魚類の眼は、特別な場合(デメキンなような超突起したもの)を除いて“ほぼ正視”であると仮定しても間違いはないと考えている。
●更新日:2003/01/27,2009/05/28
■参考文献:
上野輝彌・沖山宗雄「現代の魚類学」,魚類の眼の構造と機能:遠近調整系について,宗宮弘明:pp.156-180(1988)