||| ヒラメをきちんと絞める |||

 大変な想いで釣り上げた大切なヒラメ。みなさんは、そのヒラメをどうされます?「生簀に入れる」「タライに入れる」「クーラーにしまう」・・などでしょうが、いずれにしても最後には、血抜きをして、ヒラメを絞めて大事に持ち帰ることでしょう。【→関連ページ←】 ※ヒラメを釣り上げたら出来るだけ早めに絞めることを心掛けた方が美味しく食べられますよ。
 それでは、そのヒラメの「絞め方」についてお話をしてみましょう。ヒラメを絞める部位って、慣れている方にとっては然程難しくありませんが、初めての方にとってはとても難しいですよね?でもご安心ください。「絞め方」といってもいろいろありますが、ここでは一般的な「ヒラメの絞め方」について簡単にご説明いたします。この方法だけ知っていれば、もうあなたも立派な「活き絞めマスター」です。(笑) きっと、大きなヒラメを釣っても慌てず処理して、美味しく召し上がれることができるでしょう!
 用意するものは「ナイフまたはキッチンバサミ」と「グローブ(軍手)」だけです。ナイフは、普通のフィッシングナイフでも出刃でも結構です。キッチンバサミは、小型やソゲなどでしたら、十分にナイフの代用ができます。グローブ(軍手)は、危険なヒラメの歯から手を保護します。あと用意するとしたらヒラメが滑らないよう「まな板やタオル」などの敷物でしょうか。これは、船上で絞める場合に、ヒラメの下に敷物を敷いてナイフで船を傷つけないための配慮も含まれています。最近では、薄くてペラペラのプラスチックで、できた軽くて丈夫な「まな板」もあって便利です。
@ヒラメの「絞める部位」(急所)をよく見極めて、確実に覚えてしまいましょう。
絞めの基本は、しっかりと血抜きをして、きちんと脊柱(背骨)と脊髄(神経)を断つことです。
A最初に「鰓(エラ)」を切断します。鰓を切ることで、心臓の循環作用で血液が一気に抜けます。
ヒラメを押さえて、外部側の鰓蓋(エラブタ)をめくって、ナイフやハサミでもって素早くエラを切断するようにします。

口腔内側から切断するのは、歯が大変危険ですので、慣れない方は絶対に無理しないで下さい。
B鰓を切断するとヒラメは大暴れしますので、ケガをしないように十分に注意して下さい。
続いて、頭部側の部位を切断します。この部位を断つことで、ヒラメを即死させます。

脊柱(背骨)と脊髄(神経)の切断は、有眼側と無眼側どちらでも結構です。骨を断つだけですから片側(面)だけで充分です。
Cできる限り骨と骨の間の部分に沿って、刃を入れると切断がスムーズになります。
更に、絞めと血抜き効果を促進させるために尻鰭(シリビレ)の付け根の脊柱(背骨)と脊髄(神経)も切断します。

尻鰭の付け根の脊柱(背骨)と脊髄(神経)の切断は、神経以外にもまわりにある動脈ごと断ち切るという目的もあります。
D最後にヒラメを海水に漬けて、心臓の循環作用を利用して血液を抜きます。
■大事なポイント
@怖かったり、初めてで慣れてない場合は、手慣れている方にお任せしましょう。
A実際に他人が絞めるところを見学することで、とても勉強になります。
B絞めるとは、ヒラメを美味しく食べるための常識手段だと覚えましょう。
C夏場に限らず、冬場でも釣ったらできる限り早いうちに絞めるようにしましょう。
D船上で絞める場合は、手元の「危険防止」のため必ず停船している時にやりましょう。
Eしっかりヒラメを押さえ、躊躇せず確実に鰓(エラ)を切断します。
F暴れるヒラメを押さえ付けて、脊柱(背骨)と脊髄(神経)も断ち切って一気に即殺しましょう。
G文中で即死(即殺)とありますが、脊柱(背骨)と脊髄(神経)を切断してもしばらく心臓は動いています。
Hこの際、ポンプの役割である「心臓」を決して絞めてはいけません。
I心臓が停止すると上手に血抜きができません。
J傷みやすい内臓周りも傷つけないようにしましょう。(特に「胆嚢」を傷つけないようご注意!)
Kたっぷりと海水を入れたバケツなどにヒラメを頭から入れて血液を流出させます。
L血液が抜けたヒラメは、できる限り速やかにビニール袋などで保護してクーラーに入れましょう。
Mそして、絞めて血液や体液で汚れた場所をきちん掃除しましょう。
■備考
 ヒラメの絞め方については、他に有名なところでは「ピアノ線」を用いて脊髄(神経)に通して絞める「神経絞め」などもありますが、基本的には「絞める=殺す」ですので、どんな方法でも構いません。個人的には、ピアノ線まで船に持ち込んで「神経絞め」までやる必要性はないと思っています。(苦笑)あの方法は、ヒラメがピクピクと痙攣して死んでいきますので、かなり苦しそうです。できる限り余計なストレスを与えずに一気に「即殺」してあげたいものですね。
 その他では、ナイフでヒラメの脳を直撃する「脳殺絞め」などもあるようですが、ヒラメの頭蓋骨は意外に硬いですし、ヒラメの脳はかなり小さいので、その部位を特定することが非常に困難です。探しているうちにヒラメに噛まれたり、硬い頭部でナイフが滑って、怪我をしないようにしてください。
 但し、脊柱(背骨)と脊髄(神経)の切断や神経絞めなどでも、最後はしっかりと「血抜き」を行います。この血抜きをしないと本当に味に影響が出てしまいます。尊い死を無駄にしないで、大自然の恵みに感謝しながらこの素晴らしい食材を丁寧に扱い、美味しくいただきましょう。