||| 左鮃の右鰈 |||

◇どっちがどっちかわかるかな?◇
 この言葉は、魚市場で便宜的にヒラメとカレイをわかりやすく区別するのに使われた符丁です。 左と右を意味するものは何かといいますと、それは魚の腹部を下に背を上になるように立てて「眼」のある位置が左側にあればヒラメ、右側にあればカレイとなることを示しています。 これは魚の一般的種別法としてヒラメ科の眼は左側、カレイ科は右側が当然とされていることからもすでに一般常識といえましょう。
 ところが、カレイの仲間にも左側に眼がある「ヌマガレイ」という魚がいます。 このヌマガレイは、カレイ科の魚であるのに何故か眼が右側ではなく左側にあります。 しかも、太平洋に広く分布しているヌマガレイが産出国によって眼の位置が異なるそうです。 アメリカ合衆国のカリフォルニア沖に生息するヌマガレイの眼は「右側」にあるものと「左側」にあるものと約半々だそうです。 また、アラスカに生息するものは、およそ70%のヌマガレイの眼が「左側」になっているそうで、日本では殆どが「左側」に眼があるといい、生態学的にも未だに謎となっているとても不思議な魚です。
 つまり、見た目では必ずしも「左鮃の右鰈」のことわざのようにはいかないと言うことですね。(難)

↑のabcを押すと簡単な説明が出ます...
 ヒラメとカレイの識別法を生態学からみると、ヒラメやカレイ以外の魚は、眼が左右に分かれて視神経の構造も簡単ですが、ヒラメやカレイは右眼が移動したり(ヒラメ)、左目が移動する(カレイ)ものでは途中で眼と脳を繋ぐ視神経が交叉という現象が起きます。 そのとき、ヒラメの右眼の視神経は必ず下となり、左眼は上になります。 ちなみにカレイは全くこの逆となり、これを判断基準とするのがヒラメとカレイの完璧な区別の仕方であるといえましょう。( ̄〜 ̄;)う〜む...そこまでして判断しなくてもいいかな...(苦笑)
■参照文献:
佐藤魚水/ヒラメは、なぜ立って泳がないか(1995)
田村 保、他/魚類生理学概論(1991)