||| パンダビラメと天然もの |||

2002/1/6 茨城県日立沖にて捕獲 58a/1.8`
↑こちらが「養殖もの」ヒラメです。 俗称「パンダビラメ」。 釣り人の間では、こう呼ばれています。

 人工種苗(栽培)技術で養殖して育て上げたり、それらを海に放流したヒラメには、たいていこのような暗褐色化した斑紋があります。 写真の個体はヒラメを無眼側に裏返したもので、本来白色に発色しているはずの身体が表側の暗褐色(黒色)部分が裏側までまわり込んで延長したものです。 これは、人工種苗(栽培)技術により養殖されたヒラメの特徴です。
 このような独特の模様や斑紋が出現する理由にはいくつかあるようで、養殖魚として飼育される環境と深い関係があるようです。 主に稚仔魚や幼魚の時期に「天然プランクトン」を摂取できず、人工飼料だけで飼育されたとか、飼育される底に砂を敷いた水槽で育てずに、ビニールシートで育てられた種苗だったためにこのような暗褐色が出てくるなどが考えられるそうです。
 鮮魚市場や高級魚屋でカレイやヒラメを裏返して並べているのは、まず暗褐色している有眼側を表にして店頭に並べても、暗くてあまり目立たなく、その魚の鮮度や大きさがわかりづらいことを理由に無眼側の白色面を表にしている説と、スバリ「天然もの」か「養殖もの」かを区別させる説などがあります。
 しかし、これからの生命工学の技術はどんどん進化していきますので、数年先には、ヒラメを一見しただけでは、それが「天然もの」なのか「養殖もの」なのかなんてそう簡単に区別つかなくなることでしょう。 もうそうなると、一般の消費者をはじめ、ヒラメ釣りに精通した方でも「天然もの」と「養殖もの」の区別はできません。 将来は、ヒラメの肉やリンパ球などを検体にDNA鑑定やアミノ酸分析でもすれば別の話ですが、実際問題そのようなことは不可能でしょうから、スーパーマーケットや鮮魚市場でヒラメを購入する場合は、そのお店の人を信じるしかありませんね。(苦笑)
 ちなみにこの養殖放流の「パンダヒラメ」。 釣り味や食の味覚は、天然ものと全く変わらないのでどうぞご安心ください。
 もし、あなたがこのような「パンダビラメ」を海で釣り上げた時は、ヒラメの資源保護の為に放流活動を積極的に行なっている地元の漁業組合や海産研究所、公益団体などに対して、ぜひ心から感謝をしてあげてください。 よろしくお願いします。
↑こちらが「天然もの」のヒラメです。

各鰭などを除いた部位がすべて真っ白で美しいものが、「天然もの」の最大の特徴です。 とてもわかりやすいですね。