||| 渡りビラメと居着きビラメ |||

 俗に「渡りビラメと居着きビラメ」といいます。 「渡りビラメ」の意味としては、殆どの場合、ある程度長生きしているヒラメが、餌となる回遊魚(イワシなど)を狙って、一緒に「旅」(移動)をする...と、いう解釈が多いようです。 もうひとつの「居着きビラメ」は、前者に比べて行動半径が狭く、ずっと同じ生息圏で生活しているヒラメを示すそうです。
 では、今あなたが釣り上げたヒラメが、「渡りビラメ」なのか「居着きビラメ」なのかを区別するためにその目安を簡単に記してみましょう。

渡りビラメ 居着きビラメ
3キロ以上であること ソゲなどの小型が多い
全体的に体に外傷が多い 体に外傷が少なく綺麗
各鰭が千切れている 各鰭が綺麗に整っている
尾鰭が太く発達している 尾鰭が細くしなやか
下顎の先が擦れている 下顎に傷がない
餌の鰯の回遊とともに移動している 主食は、生息域の小魚などが多い
歯がボロボロ 歯は綺麗に整っている
ヒラメ本来の体色で釣れてくるものが多い 生息する海底の色に偽装しているものが多い

 いかかでしょうか? 俗に一般的に言われている「渡りと居着き」の区別方法です。 あなたの釣ったヒラメは、どちらだったでしょうか? きっと恐らく区別することができなかったのではと思います。
 それは至極簡単な結論で、「渡りと居着き」の区別方法の理由がこの程度と確信がなく、非常に曖昧な点が多いからだと思われます。 これらが本当にその要因になるのかどうかについても、特に文献や調査資料もないので、はっきり言って定かではありません。
 また、日本周辺の海域に生息するヒラメには、「ヒラメ各系群の分布域」が形成されており、そのエリアを越えて移動するヒラメは、まだ実証されていません。 しかし、「東北群」となるばすの茨城県鹿島で放流したヒラメが、潮に乗って移動し、隣の千葉県銚子沖で捕られて「関東群」となる可能性などの例はあるようです。
 さて、話を戻しまします。 みなさんも想像できるかと思いますが、ヒラメがある程度大きくなるということは、それまで生きてきた証として、複雑な地形が蔓延る海の中を長年泳いでいた結果、全体的に傷も多く、「尾鰭」が著しく発達して骨も太くなり、筋肉も鍛えられ、鰭自体もあちこち千切れてしまっているのは、とても当たり前の事だと思われるでしょう。 逆にソゲなどの小型のヒラメは、生息域を移動する距離も生きてきた時間の経過から判断してましても少ないと考えられますので、とても綺麗な固体であると推測できます。 仮に「養殖場」で飼われているヒラメでも出荷の平均重量となる1〜1.5キロで制限しなければ、栄養価の高い飼料で育てられるため、あっというまに3キロ以上に成長してしまうでしょう。 そして、生息圏に関係なく、餌をいっぱい摂取するヒラメは、年齢とともに「顎」も擦れてしまうことでしょう。
 ですから、どれが「渡りビラメ」でどれが「居着きビラメ」かなのかは、一概に判断すること難しく、はっきり確定できるような区別法はないといった方が正解だと考えられます。
 つまり、釣り上げたヒラメが、「渡り」なのか「居着き」なのかしっかり突き止めることなどは、あまり気にしなくていい事だと思われます。 我々は、釣り人であって、ヒラメを研究をしている学者ではないのですから。 ようは、3キロ以上の大物クラスのヒラメが、海の底から上がってきて、釣り人たちに夢と感動を与えてくれさえすれば、それで満足なばすなんです。 違いますでしょうか?